夕飯は亜樹に奢って貰ったラウンドパンを食べた。

大好きなんだけど…いつもより味を感じなかった。



胸が苦しい。
ただそれだけのせいで…。




空…空が見たい。
無性に空を見たくなり、薄手のシャツを羽織って部屋を出た。



自転車に乗って少し離れたお気に入りの海へと向かう。




肌を撫でる風が気持ちいい。




徐々にコンビニや住宅の明かりから離れて行く。


静かな闇。
だけど心地よい月明かり。





微かに香る潮の匂い、そして聞こえる波の音。



もうすぐだ。
空と海を独り占めできるあの場所まで…。







自転車をこぐスピードを少しだけ速める。