「…落ち着いたか?」



さっきまでいた廊下は、人目につくかもしれない。



なんて、散々やった後に気付いた私たちは、一応…そこから移動し、目の前にある6組の教室に入った。



「……っ、うん…」



村沢に借りたハンカチで涙を拭きながら、私は返事をする。



でも…
まだ完璧ではない。



「あ…秋山、これ…見ていいか?」



そんな私を見て、村沢はちょっと呆れたような表情を見せて、そう言った。



手には…
さっき渡した封筒。



「どう、ぞ……」



もう…
勝手に見て下さい。



「じゃあ…見る。てか、お前さぁ…泣くなって。」



泣かせたの、アンタじゃん!



「前に言っただろ…俺。お前の泣き顔は、見たくないって。」



「…………」



悔しいけど…
その言葉、すごい嬉しい──



封筒を開ける村沢を見ながら、私は何とか必死に泣き止もうとしていた。