しばらくして泣き止むと、誠に聞いてみた。

「ねえ、中田圭一って知ってる?」

「中田圭一?いや、知らねえけど。」

「よく思い出して。12~13年位前だと思う。チビで泣き虫の男の子いたでしょう?」

「んー、いたような…いなかったような…?」

「『ケイちゃん』て呼ばれてたって。」

「…中田圭一…てチビで泣き虫だった奴だよな。あー、いたいた、そんな奴。

田舎に住んでた時、近所にそいつの母方の実家があって、毎年夏に遊びに来てたんだ。

何やってもどんくさい奴でさ、蝉一匹捕まえられなかったんだ。

そんな奴を見かねたヨシザキマコトが、特訓してやるとか言って、何か色々やってたみたいだったな。…何でお前が中田圭一知ってんの?」

「クラスメートなの。」

「え?じゃあ、迎えに行った家か?」

「うん。」