「聖良?」

誠の声で我に返った。

「何で警察が…?」

「お前が家に入ってすぐ、俺が連絡した。知り合いの刑事がいてね。

薬物の件では、前々から目をつけていたらしい。

それに、お前以外にも女の子が何人か、被害を受けていたんだ。

よく頑張ったな。もう大丈夫だ。」

そっと抱き締めてくれた誠の腕が、私を包み込んだ。

一気に溢れる涙。声にならない声をあげて泣いた。

恐怖と安堵と解放…。

もう纏わりつかれる事なく生きていける。

と思うと同時に、これ以上誠に迷惑はかけられない、という思いにたどり着いた。