――“我慢すると、身体に悪いよ”――
『……っ 』
慣れた行為のはずなのに、時折、音楽の合間に耳に飛び込んでくるその男の声で、敏感になってしまう。
もう、深夜とはいえ、一体、どこの放送局がこんな卑猥なことを言わせてるんだ。
そのとき、圧倒的に
あたしの耳を支配していたのは
目の前の彼の睦言ではなく
スピーカーから漏れ聴こえる、
最高に気持ち良い囁きだけだった。
そんな快感、初めてで。
全身が震えてしまって、
自分でもどうしていいかわからなかった。
――“さっさとイっちゃえばいいのに。・・…ばぁか。”――
『!!!』
………クラッシュ。
あたしはこの耳の奥をくすぐるような声音の“ばぁか”で、落ちた。
もうそれは見事な、墜落ぶりだった。
…それが、人気DJによる若者の「お悩み相談室」だったと知ったのは、それから間もなく経ってからのこと。



