翌朝、仮眠を取るためにホテルに戻ったあたしに

ロビーですれ違いざま、
トウマが、ぽそっと言った。





「サラ… バイトくんとの色恋沙汰は、禁止はしないが程々にしとけ。」

「っ…!?」





うそ…

昨夜の――…、見てたの?



違う、そうじゃな…



あたしは―――――… 





冷静な視線に晒されて

じわじわと、毒が回る。


ねぇ、
いっそのこと、
「禁止!」って言ってよ。

そうしたら、大義名分を振りかざして、シュンくんに「ごめんね」って言えるのに。





―――…なんて、あたしは最低だ。



トウマ―…


やっぱりあたしの事、何とも思ってないの?

どうでもいいの?




ただでさえ徹夜明けでクラクラする頭に、ショックが重なって

もう自分がどこをどうやって部屋に戻ったのかも分からなかった。



目の前が真っ暗で。


昨日の朝は
あんなに希望に満ち溢れていたのに

たった一日で
こんなに墜落しちゃうなんて。






「……… ばぁか」




ベッドに倒れ込んで

トウマの口癖を真似てみてた。



目尻から耳に伝った涙で枕が濡れた。