S・S・S






その日の夕方。
ブースを占領して、あたしはまず、徹底的に敵の情報を洗うことにした。
(敵、というのはもちろんトンガリさん、およびトンガリさんを名乗っていると思われるトウマについて、だ。)

情報、と言ったところで沢山はないんだけど。整理すれば、輪郭がおぼろげながら見えてくるかもしれないから。


まず、PCに送られてくるメッセージの、発信元アドレス。

残念ながら、あたしはトウマのアドレスを知らない。(ぐぅっ、地味にダメージ)DJ同士で緊急連絡用に全員の携帯番号は共有しているけど、アドレスまでは必要ないから。でも。

…仮に知っていたとしても、大した手がかりにはならないな、こりゃ。

トンガリさんは、フリーメールを使って番組にメッセージを送っていた。アドレスもご丁寧にtongari@…。これじゃ、ヒントなんてない。全然誰だかわかんない。


…なら、トンガリさんがメールを送ってくれる時間帯はどうだろう?

過去の履歴をチェックしてみると、実にいろんな時刻に送られていることに気付いて、びっくりした。
あたしは朝の番組を担当することが多いけど、たまにやる夕方だって、特別放送の深夜にだって、あたしが喋るときはかならず番組にメッセージをくれている。しかも、…どれも必ず、番組内容に触れている。ってことは、放送を聴いた上でメッセージをくれていることがわかる。

どんな時間帯でも…聴いてくれて、いたんだ、ほんとうに…。


鳥肌が立った。
日暮れと共に、館内の気温が低下してきたからじゃない。




なんだろう、この感覚。



トンガリさんのメッセージだけを抜き出してズラッと並べてみると、言いようのない恥ずかしさで頬が熱くなるのを感じた。


どうして、だろう。

トンガリさんをシュンくんだと思ってたときは、こんな風に感じなかったのに。