「まだ向こうに挨拶にも行ってないけど、烈火さんの紹介ならまず断られることはない、太鼓判押しておくよって言われたし。正直、DJとして喋りたいって気持ちはまだあるけど、それよりNISみたいな大きな所で放送に関われることの方が、遥かにいい経験になる。ほんとラッキーだよ。こういうのって伝手(つて)がないと中々入れないからね。」
「良かったね、…ほんとうに、良かった…しかもQ’sって世界のQueen Record傘下の会社でしょ?ワールドワイドに活躍できそうじゃん!でっかいチャンスもらったね!きっと活きるよ、大崎くんの経験が。」
…ダメだ、止まらない。
じょびじょび涙を流すあたしに、大崎くんはクシャっと顔を歪ませた。
「サラちゃんの魅力はそれだよね。…なんか、好きになっちゃうっていうか。助けたくなるっていうか。」
「や、あんたの好きなのは灯歌ちゃんでしょ?いきなり何言ってんの?」
「そ…そういう意味ではありませんっ!す、好きとか…っ!そもそも灯歌さんは烈火さんの神聖にして大事な姪っこさんでありまして私なんかが好きだなんて申し上げるのは100万年早いっていうか…ゲホゲホっ!!」
ダメだ、この人に灯歌ちゃんの話は厳禁だわ。そのうち死ぬ。
「わかったわかった、もういいから。」
「サラちゃん、今みたいな話をもしかしてひひひひ灯歌さんになさっておられるのではっ?」
「…大崎くん、動揺しすぎて敬語おかしいよ。そんなんで四月から大丈夫?局には、灯歌ちゃんもADで出入りしてるんでしょ?毎日のように顔を合わせるんじゃない?」
「はひーーーーーーーっ!?そ、そういえば…っ!!」
(気付いてなかったのか…)
軽く5分ほどかけて大崎は態勢を整えていた。
いまいち心配なのよね。こんなんでマトモに仕事できるのかな、この人。
「と…とにかく、そういう事だから4月からもよろしくね、サラちゃん。君の番組を担当できるかどうかは分からないけど。」
「うん、嬉しい!こちらこそよろしく、大崎くん。」
一抹の不安はあるけれど…うん、彼は大丈夫だ。積み上げてきた経験が違う。なにより、この仕事に愛をもって取り組んでいるもん。それはこれからもきっと変わらない。ここでチャンスを掴む事が出来てよかった、本当に。
心から、そう思えた。



