ダメだ。
愕然としてる場合じゃない。逃げた方が…逃げる?いやいや、逃げたら意味ないし。ってか、でも鍵はマズイ。鍵、開けないと…
そんな風に逡巡していたせいで、一瞬行動が遅れた。
あたしが立ち上がるよりも早く、シュンくんはこちらに戻ってあたしの手を掴む。
「…どうしたんですか?」
「や、鍵なんてかけなくてもっ」
「だって、いつもいいところで邪魔されるんだもん。ボクだって対策します。あの日の続き、しましょうよ。」
「や、だからそのっ、そ…」
“んなことするつもりはない”、という言葉は、噛み付くように奪われた。…シュンくんの、唇に。
「…っ、や、だっ!」
「やー、じゃないでしょ。ホラ。」
「……っ、」
しまった、と思ったときにはもう遅かった。完全に彼の方が上手だ。
身体は逃げようとしているのに、腕に力が入らない。なによりがっちりと抱き締められていて、あたしの手は上にさえ上げられない状態だった。



