S・S・S






『さ、ここからはBack to the SSS…シラカワスノーステーションに戻って…年末年始の新企画“あなたのハートをデリバリー”のコーナーです。…』


時報のすぐあと、トウマのリードでコーナーが始まった。


『このコーナーでは毎日1人の方に、ハート…つまり気持ちを伝えてもらいます。ゲレンデ・ラブという言葉もあるくらい、スキー場は一つの恋愛スポット。ここシラカワに至っては日本有数のスノーリゾートだ。愛の告白、プロポーズ、または仲間への感謝。届けたい気持ちは何でもいい。1月6日まで毎日応募してるから、気軽に参加してください。さて、今日は誰が、どんな気持ちを届けてくれるのかな。 レポーターは…』


マイクを持つ手に力が入る。

3,2,1…さぁ、行くよ!


『DJ: Sarah―――!』

「はーい!こんにちはー!DJサラです!」

『このあとよろしく。で、いまどこにいる?』

「はいっ! いま、わたしはセンターハウス2階のカフェ:Noelに来ていまーす!もう、すごい人!カウンターも長蛇の列です!」


歩きながら人ごみをかき分ける。時折、「サラちゃんだー!がんばって!」なんて声も聞こえてくる。

大丈夫。目標(ゴール)は、見据えてる。

あたしの大きな声に、明ちゃんはようやく気付いたらしい。きょとん、としてる。きょう初めて、目が合った。

スピーカーを指差してる。
うん、オンエアは聴こえているみたい。
でもまだ、こちらの意図には気付いていない。



「さて、今日は1月1日ということでカフェもすごく賑わっています。ちょっと移動するにも大変なぐらいで…。さ、そんな中きょうのプレゼンターは…」


あたしが仕事中なんだろうと、事の成り行きを温かく見守ろうとしていた明ちゃん。
まっすぐに自分の元にやってきたあたしを不思議そうに見つめている。

そして、立ち上がった奏さんをゆっくりと見上げた。


そうなの、明ちゃん。
プレゼンターは、あなたの隣にいる、その人なの。


「この人です!自己紹介を、どうぞ!」