S・S・S



あんな可愛い子をひとりにしとけないよね。

しかも、明ちゃんたら普段着だから、スノーウェアの群れの中で余計に目立ってるもん。

と、思ってたらホラホラ!
なにやら大学生っぽい男子が数人、明ちゃんに近付こうとしてない?


「わかりました。あたしここに待機してるんで、とりあえず戻ってください!コーナー始まったらこっそり声を掛けに行きますね。」


そう言って、送り出した。

柱の影に隠れてふたりを見守ると、時折、ゲレンデやDJブースを指さして笑い合ったりしてる。その様子は、誰が見てもお似合いのカップルで。

しかも、奏さんってばもう視線が明ちゃんにロックオンされてて他のもの見えてないんじゃないかと思えるくらいで。たまに明ちゃんが恥ずかしそうに目線を下げたり横に逸らしたりしている。

あの奏さんに、あんな目で、至近距離から見つめられたらそりゃ堪らないよねぇ。あたしは明ちゃんの気持ちを知ってるわけだし。



「てか、いまさら…あれ告白とか必要なのかしら…」


思わず漏れたそんな呟きを掻き消すように、12時の時報が、建物内に大きく響いた。