S・S・S




カフェに行く、ということは当然あの人にも会う、ということを
薄情なあたしは、すっかり忘れていた。

そうだ、これもちゃんとしなきゃ。
あたし…



「シュンくん…」

視線の先には、ランチタイムでごった返す人のなかでするりするりとマイペースに仕事をこなすシュンくんの姿があった。

元日のお昼なんて、多分、明日あさってよりは少ないもののシーズンで最も忙しい時期に変わりない。満席になっている1階のレストランに入れない人たちが、とにかく軽いものでもいいからお腹を満たそうとカフェスペースにやってきて、注文カウンターに列を作っていた。


忙しそうだな、と声を掛けずにカウンターの前を過ぎ去ろうとした、その時。

「あ、サラさんだ!おーい!お疲れさまでーす!」


・・・ちゃんと、見つけて、声を掛けてくれた。
目も回るくらい、忙しい時間帯なのに。

いつも通りの、エンジェルスマイル。


・・・ダメだ。
ちゃんとしなきゃ。

ほんとうにもう、ちゃんと言わなくちゃ。

その気持ちが嬉しいから、ちゃんとしよう。


「シュンくん!」

並んでるお客さんが振り向くくらいの大きな声で叫んだ。

いいんだ。
恥ずかしいことなんて、あるもんか。


「夕方!片付け作業が終わったら、休憩室で待ってる!お話、しよ!」

シュンくん。
ちゃんと、向き合って、お話、しよう。