S・S・S






外の露天は、もう言葉にならないほど最高のロケーションだった。


かすかに立ち込める硫黄のにおい。

大きな石で囲まれたお風呂は「野趣あふれる」、という表現がぴったりかな。

杉に積もった白い雪はモッタリと重そうで、まるでこちらに向かって無数の手を垂れているよう。

ちょっと奇妙な感じがするけど、自然の造形美だ。



湯際の岩肌は、温泉の成分で沸騰して固まったように泡立っている。

いつの間にか降り出した雪が頬や肩に触れては溶ける。



・・・静かだ。

雪は音を吸うというけど、ほんとうなんだな。


動くたびに、湯の華が浮かんでは沈んでいく。


冷たい。

けど温かい。

それが絶妙のバランスで気持ちいい。

いくらでも入っていられそうな最高のお風呂だった。




こんなところを、知ってるなんて。


悔しいけど、イイオトコだ。

トウマは、大人なんだ。


憧れと同時に距離も感じる。


…他の誰かを、連れてきたことがあるのかな。

想像しても仕方のないことで一瞬気持ちが翳る。


はぁ、と大きなため息が出た。



どっちにしたって、胸が苦しいのには変わらないんだ。
あの人を好きな限り。

どんな感情が芽生えても、最後はやっぱり、苦くて甘い。
そして、せつなくてキュッとなる。


わたし、あなたが、やっぱり、好き。