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さて、と。
初心な少年のように胸を高鳴らせている場合じゃないわ。
任務遂行、任務遂行。
明ちゃんを、なんとしてもゲレンデに誘わなきゃ。
さっき、ここを離れる前のトウマの視線は、そういう事だ。
あたしに任せたぞ、って事だもんね。
気合一発。
カウンターで出された深紅の発泡酒を口に含む。
「明ちゃんは、バンドが好きなの?」
「あ、いや…普段はあんまり。美加の彼氏が今日のゲストで…あと、招待されて…」
美加ちゃん。さっき楽屋で隣にいた、女子力高めの子だ。
なるほど。美加ちゃんの彼氏が、つまり奏さんの友達で、それで知り合ったってところかな?
「サラさんは?」
「あたしも、奏さんから招待されたの…あ、招待されたのはトウマなんだけど」
誤解を招かないようにフォローしたつもりが、逆に墓穴を掘ってしまったみたいだ。
続いて放たれた明ちゃんの一言に、頭が真っ白になった。
「あの…変なこと聞いちゃいますけど、、、お二人って、付き合っているんです…か?」



