「ま、それもある。さっきの彼女をゲレンデに誘わなきゃならんからな。飯なら奥のバーカウンターで―…」
「わかってるってば!」
あ、かわいくない。
思わず、つっけんどんな言い方をしてしまった。
いまのは、かわいくないぞ、あたし。
わかってるんだけど、でも。だって。
―…“それもある”
って、それ“しか、ない”くせに!
どうして、こんな思わせぶりなことばっかするんだろう。
肩の手、どかしてよ。
あたしばっかりドキドキしてるの、すごい悔しいよ。
はやく、離して。
「さっきの、背の高い方が、奏さんの好きな子なんでしょ?あの子を、ゲレンデに誘えばいいんだよね。あたしが。このあと。」
なんだか無性にイラッとして、矢継ぎ早に言葉を放った。



