「――…曲も良いし、アレンジも良い。短期間でよくこんなに完成度高いの作ったなお前ら…これ、タイトルはあるのか?」
奏さんは、長くて、でも不思議に耳馴染みの良い言葉を口にした。
「…『君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて』」
「キミの胸に鳴る音を―…え?」
途中で続きがわからなくなる。
でも、これ以上ないくらい、ぴったりな…
「――…“澄んだ冬空に響かせて”だよ。長くて悪ぃな。ほんとはサブタイトルで“maybe”(メイビー)って付けたかったんだけど…さすがに長すぎると思って。」
「may・be?」
「そ、メイちゃんの、メイ。」
奏さんの目が、一瞬遠くを見て緩んだ。
まるで、愛しい人をそこに見ているように。
「―…メイちゃん??」
「あ、やべ。」
そんなあたしたちの会話を聞いていたトウマが、奏さんに言った。
「――…なるほどね。その“めい”ちゃんとやらが、お前にこんなすごいバラードを書かせた張本人ってわけ?」
「いや―… ……ま、そういう訳なんだけど。」
―…意外とあっさり、陥落したなぁ。



