「――…そんなに、感動した?」
奏さんが、ちょっと真面目な顔をして微笑む。
少し、照れくさそうな目元だ。
「感、動…」
そっか。
あたし、この歌に感動してるんだ。
歌を聴いて泣く、なんて
これまで経験したこと無かった。
学校の、卒業式くらいじゃないかな…。
「…お前、泣きすぎ。」
トウマが、小さく笑って
パーカーの袖口で涙を拭ってくれる。
触れた指先が、頬に紅をさした。
耳元のヘッドフォンからは、
繰り返し、繰り返し…愛が囁かれていた。
「いやー、びっくりしたけど嬉しい反応だねぇ。力入れて書いた甲斐があったわ。」
「―…これ、お前が書いたのか?詞も、曲も?」
「トーゼン。だから持ってきたんだっつの。」
「ふーん…」
トウマは、しばらく両手を両耳のヘッドフォンに当てて、じっくり音を聴いていた。
時折、目を閉じて深く聴き入るようにしながら。



