*
コツン、コツン。
硬い床が靴音を弾く。
ホテルのロビーは、しんとしていた。
深夜0時。
温泉から帰ってくるお客さんも到着客も、ひと段落して、辺りには、もう誰もいなくて。
――――…
シュンくんも、まだいない。
あたし、ひとり、だけ。
……ちょっと、ホッとした。
だって、こんなデリケートなお話、できたら誰にも聞かれたくない。
あたしがもし
シュンくんの立場だったとしたら。
誰にも、見られたくないだろうなって。
ロビーに置かれた黒いソファに身を沈めて、あたしは静かに“その時”を待った。
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