S・S・S



「そう、なんだ…。」



初めて聞く、トウマのバックグラウンド。

知らない事だらけだ。

ああ、あたし、あなたの事何も知らない。




烈火さんの家にステイしてた…なんて。

帰国してしばらく?

なんで?じゃぁ、ご両親は…?




「なんかね、久しぶりに見たトウマがすごく変わっててびっくりしてるんです。あんなに色んな表情をする人じゃなかったんですよ。クール一辺倒で、何考えてるかさっぱり分からなくて。

 それが、この雪山に来てみたらちょっと人間臭くなってるじゃないですか。あたしね、それってサラちゃんのせいだと思うんですよねー。あの9月の編成会議の時、びっくりしましたもん。サラちゃんは、彼が初めて執着を見せた人間です。あたし…応援してますから。」


「灯歌ちゃん…でも…あの…」



それは…嬉しいことだけど、でも。

恋愛、とは、違うんじゃないかな…なんて

つい、後ろ向きに捉えてしまう。



「まぁ、まぁ。そのことは、またお話しましょう。ふふふ、冬休みがさらに楽しくなりそうっ♪それから、お昼の番組ですけど。烈火さんのツボをくすぐる曲なら…私、知ってますよ。サラちゃん、バックアップしますから、がんばりましょ☆おじさんギャフンと言わせちゃおう!」



ニコニコ笑って『がんばろー!』と拳を上げる灯歌ちゃん。




――…あぁ、良い子だな、この子…。




可愛くて、トウマの事が大好きで
いつも、トウマのそばにいて。


普通なら、嫉妬の対象にしかならないのに。

 
これじゃぁ、好きになるしか、ないじゃない。





「よし!がんばろう!」


一緒に、右手を振り上げた。

二つの拳に、願いを込めて。



(BGM:『YAH!YAH!YAH!』)