ブースの外にある準備スペースで、CDの山を抱えながら盛大なため息を吐き出したあたしの頭を、後ろから軽くはたいたのはトウマだった。
「ばぁか。気負いすぎだっつーの。」
「ば、……ばか…って…誰のせいだと思ってんのよっ!」
……はっ。
あたし、このセリフを前にも言ったことがある。
『インフルエンザじゃないんだろう。多少の熱なら、出ろ。』
『だっ……誰のせいだと、思ってんのよ!』
あぁ、そうだ。
深夜の露天風呂で… あの事件があって。その、翌朝のことだ。
肌に、あのときの感覚が甦る。
『安藤サラに手を出すな』
……記憶が無いなら、あれは、セーフなの?
(↑いや、完全にアウトだろう)
瞬間、流れ込んできたあの時の記憶に、思わず頬を赤らめてしまったあたしを見て、今度はトウマがため息を吐いた。
「――…お前… 朝っぱらから何て顔してんだ…アホか、いい加減にしろよ…ったく。」
―――…ねぇ、トウマ。
もう、気付いてる…よね?
あたしの気持ち。
けど……何も答えては、くれないんだね。
どうして?
『あたしに手を出すな』って、烈火さんに言われてるから?
それとも、
あたしは、恋愛の対象じゃないから?
いっぱい、聞きたいことがあるのに、声にできなくて。
ただ、視線で伝えるしかなかった。



