「ち…ちょっと待ってくださいよ!!」
意味深なセリフを残して
ブースに戻ろうとする烈火さんを、思わず引き止めてしまった。
だって。
自分の事なのに。
どうして、あたしだけが蚊帳の外なの?
どうして、そんな風に
上から、身の振り方を決められなきゃいけないの?
『手を出すな』、なんて。
――…トウマの気持ちも、知らないのに。
「なんか、さっきから聞いてりゃ勝手に“あたしに手を出すな”だの何だの…どういう意味ですか?手なんか、1回も出されてませんよ!?(←ん?)ちゃんと、説明してくださいよ!」
思えば、これから働かせてもらえるかもしれないラジオ局のお偉いさんに、よくもまぁ、こんな口の利き方ができたと思う。
しかも、さっき会ったばかりの初対面の人なのに。失礼極まりない話だ。
でも、必死だったんだ。
見えない何かを、掴みたくて。
で・・・結果的に、見えないものを引き寄せてしまったみたいだ。