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「それでは朝礼を始めまーす。」
大崎くんが緊張した面持ちで号令をかける。
「「「おはようございまーす!」」」
全員並んで、背筋をピンと伸ばして大合唱。
軍隊もかくやと思うような整列具合。
それも、そのはず。
だって、前に立っているのは――…
「改めて、紹介する。NIS-FM・編成部長の“烈火(レッカ)”さんだ。まぁ、知ってる奴は知ってると思うが…俺の番組のチーフプロデューサーでもある。今日から年明けまでここに滞在するから、失礼のないように。」
トウマがそんな風に“烈火”さんを紹介した後、大崎くんが興奮したように、あたしに耳打ちした。
「すっげーよなーー!DJ烈火さんといえば、伝説のパーソナリティーだぜ!?現役時代はファンクラブもあったっていう…唯一無二なトークでリスナーを虜にしてたんだ。いまは、NIS-FMで制作に関わる全権を握ってるらしいぜ。…ああ、やっべ、俺、もう死んでもいい…」
へーぇ…伝説のDJ、ねぇ…。
ラジオバカの大崎くんにとっては、もう神に等しい存在なんだろうな。
確かに、目の前に立つ烈火さんは、只者ではないオーラを発していた。
まず、その風貌。
彼と対峙したら、大概の人はまず、身構えてしまうと思う。
………スキンヘッド、なのだ。
加えて、高い身長に整いすぎた顔。
なによりも、圧倒的な存在感。
これでビビらないほうが、おかしい。
その、彼が、
さっき、あたしと美少女…灯歌ちゃん、だっけな…を、助けてくれた張本人なんだ。



