君の胸に鳴る音を、澄んだ冬空に響かせて




ライブ会場は、ニャーイヤーハグの嵐。

あたしは美加とのハグのあとは、なんとか逃れようと、誰とも目を合わせないようにしていた。


そのとき、trapの立つステージによじ登ろうとするファンが目に入った。

その人の目には、明らかに1人だけが映っている…


オレンジ頭のドラマーが。


「…やだ」

「えっ?ちょっ、明?!」

美加の声もあんまり聞こえなかった。
ただひたすら、その人に向かってずんずん進んで行った。