ライブ会場は、ニャーイヤーハグの嵐。 あたしは美加とのハグのあとは、なんとか逃れようと、誰とも目を合わせないようにしていた。 そのとき、trapの立つステージによじ登ろうとするファンが目に入った。 その人の目には、明らかに1人だけが映っている… オレンジ頭のドラマーが。 「…やだ」 「えっ?ちょっ、明?!」 美加の声もあんまり聞こえなかった。 ただひたすら、その人に向かってずんずん進んで行った。