「えいっ」

沙耶は彼に向かってあたしの消しゴムを転がす。

「ちょっと、沙耶!?」

止めようとしたけど、あたしの消しゴムはもう彼に向かって転がっていった。



コツン…


ちょうど彼の肘に消しゴムが当たってそれに気付いて、こっちを向いた。


「え…ぁー…」

言葉が出てこない…

「ちょっと、紅葉!あ、ごめんなさーいっ。消しゴム、とってもらえますか?」


沙耶がすぐにフォローしてくれた。

「あ、はい… どうぞ。」
彼は少し微笑んで消しゴムを沙耶に渡した。

「あ、ありがとうございます」

とりあえずお礼を言った。

「その制服は北原高校ですよね?」

沙耶はすぐに次の会話を始めた

「あ、そうです。」

「へぇ、あたまいいんですね!!」
「ハハハッ、俺は全然ッスよ」

彼は笑う。沙耶は話上手だから会話が弾んでいく。

少し羨ましいと思いながら、あたしは隣で聞いていた