ゴマかすように咳をする。 「じゃ、綾川さん、ゆっくり休みなさい」 そう言うと、寺門がベッドまわりのカーテンを閉める。 綾川…。 「熱あるの?」 尋ねる寺門を無視し、俺はベットの脇に立つ。 この向こうに…。 向こうに…。