立てないことはなかった。 蹴りは重いが、俺は喧嘩慣れしている。 けど立てない。 いつもはろくに喋りもしない親父の豹変ぶりに、固まって動けない。 「もういいからやめて!」 あいつが無理矢理止めに入ったのか、蹴りがやんだ。 その隙に俺は家を飛び出した。