あたしは二宮に手を引かれ、2人で学校を後にする。
「葵衣」
「何?」
「俺のことも名前で呼んでよ」
「はぁ?なんで。嫌だよ」
「えー。
司ばっかりずるいじゃん」
ずるいって…
「お前が司くんとか呼び出すから、
すっげぇムカついてた」
「…なにそれ」
バカじゃん。
少し拗ねた表情をする二宮を
一瞬可愛いと思ったあたしは絶対おかしい。
「じゃあ、俺と付き合ったら名前で呼べよ」
「何言ってんの?」
「約束な」
……なに、
この、有無を言わせない感じ。
「呼ばないし、そもそも付き合わないからっ」
「言ってろ」
このときは
恥ずかしくなって
強がってみせたけれど。
この不器用で生意気な、
でも実は優しい男には
きっとあたしは一生かかっても敵わない。
引かれている手が恋人繋ぎになるのも
"音弥"って呼び始めるのも
もう少し先の話。
end

