リンドブルムの剣~魔女が涙を流す夜~

 川に膝まで浸かったその美しい姿に見惚れる。

 ベリルの容姿は、以前よりもさらに輝いていた。

「!」

 近づいてきた男に気がつく。

 40代ほどだと思われるが、ガッシリした体格のその男は嬉しそうにベリルを見つめた。

「随分と物騒だなぁ……剣も持たずとは」

 あごをさすり、ニヤけた顔で発する。

 男は、おもむろに剣を取り出し地面に突き立てた。

「そこで、だ。この立派な剣をお前にやろう。条件と言ってはなんだが……」

 一晩、俺の相手をしてくれないか……?

 そう言った男の言葉にベリルは眉をひそめる。

「断る」

「これはかなりのシロモノだぞ」

 めげずに押し売る。

「ひと振りの剣のために体を売るつもりはない」

「おいおい、よーく考えろよ。ここから一番、近い村だって一週間はかかる。丸腰でどうやってたどり着くつもりだ?」