「いつ、どう、人間ではないと解った」

「え……いつって……」

「か、母さんが言ってた!」

「お前は己の意思で理解した訳ではないのか。母親の言葉が間違っていたらどうする」

「ま、間違ってなんか……っ」

「いいか?」

 ベリルはしゃがみ込み、子どもたちの目線に合わせて語る。

「誰しも間違いはある。それに怒っているのではない。だが、お前たちの言葉で誰かが傷つく事は理解しなくてはならない」

「おじさんはエリスが人間だって言うのか?」

「そうだ」

「なんで?」

「人であろうとなかろうと、それに何の意味がある」

「え……?」

「彼女は確かに人間だが、それと傷つくのとはまた違った事なのだ」

 ゆっくりと言い聞かせるように言葉を紡ぐ。