「O型の人間は、おおらかだけど、すぐに忘れるのよ」
大学の頃に付き合っていたユミという女に、そんなことを言われたことがある。
血液型がO型であることと、忘れ易いことに何か関係があるとは思えなかったが、僕は反論しなかった。
忘れっぽい性格であることは間違いなかったからだ。
事実、ミヤシタとの再会から一夜明けると、僕はミヤシタのことなどすっかり忘れていた。ただ、忘れたというよりは、社内報の締め切り作業が始まり、連夜の残業に人のことなど考えている暇などなかった、というのが本当のところだった。
その後、僕は、祝日と週末を挟んで8日続いた締め切り作業からやっと解放され、久し振りに定時に仕事が終わった。
外はまだ明るかった。
明るいうちに帰路につくということがしばらくの間なかったから、夕刻の駅前の賑やかさに、僕は何かすごく違和感を覚えてしまった。
長らく会社帰りに開いているのを見たことがなかったスターバックスの大きなウインドーの向こうで、待ち合わせをしているのだろうスーツ姿の女性が携帯のディスプレイを眺め、クラブ活動を終えた近くの私立女子高の生徒たちが、スポーツバッグを肩に提げて下校していた。
腕を組みながら歩くカップルはたくさんいて、さらに多くのサラリーマンが、ビルというビルから吐き出されていた。
そのまま帰るのでは、何か損をしているような気がしてきて、僕は一駅離れたミナミの繁華街まで歩いて、その辺りから地下鉄に乗ることにした。
大学の頃に付き合っていたユミという女に、そんなことを言われたことがある。
血液型がO型であることと、忘れ易いことに何か関係があるとは思えなかったが、僕は反論しなかった。
忘れっぽい性格であることは間違いなかったからだ。
事実、ミヤシタとの再会から一夜明けると、僕はミヤシタのことなどすっかり忘れていた。ただ、忘れたというよりは、社内報の締め切り作業が始まり、連夜の残業に人のことなど考えている暇などなかった、というのが本当のところだった。
その後、僕は、祝日と週末を挟んで8日続いた締め切り作業からやっと解放され、久し振りに定時に仕事が終わった。
外はまだ明るかった。
明るいうちに帰路につくということがしばらくの間なかったから、夕刻の駅前の賑やかさに、僕は何かすごく違和感を覚えてしまった。
長らく会社帰りに開いているのを見たことがなかったスターバックスの大きなウインドーの向こうで、待ち合わせをしているのだろうスーツ姿の女性が携帯のディスプレイを眺め、クラブ活動を終えた近くの私立女子高の生徒たちが、スポーツバッグを肩に提げて下校していた。
腕を組みながら歩くカップルはたくさんいて、さらに多くのサラリーマンが、ビルというビルから吐き出されていた。
そのまま帰るのでは、何か損をしているような気がしてきて、僕は一駅離れたミナミの繁華街まで歩いて、その辺りから地下鉄に乗ることにした。
