久遠さんを撒いた後も、私達は道を歩き続けます。

道が分からないわけではないのですが、クルトさん達は遠くに行ってしまったようですね。

「ずいぶんと足が速いですね」

生き物の潜在能力を発揮したというところでしょうか。

クルトさんのポテンシャルの高さが伺えますね。

「あれは、何にゃ」

琴さんが足を止めました。

前方には妖魔の死体が築かれてます。

死体の頂点には前方だけを見つめている女性が座っています。

体は傷だらけで、服もところどころ破けています。

「おや、乾さんじゃありませんか」

乾瑠璃子さんは私達に気づくと、無言のままで立ち上がります。

目は赤く染まっており、鈍い私にも分かるような殺気を放っていますね。

「はは、ははははははははははは!」

突然笑い出し、彼女は死体の山から降りてきます。

彼女から伝わるのは殺気だけではないようですね。

「おやおや、狂気の世界に魅せられましたか」

彼女は死地を与える事に快楽を生み出してしまったようですね。

「いひ、ひはははははは!」

どうやら、周りには彼女の父親と母親の姿はないようです。

彼女に何があったのかは知りませんが、私としてはうれしい限りですね。

「あなたは、私を死地に送ってくれるのですか?」

私は自然と笑みを浮かべていました。