美咲に何があったのかを子鉄に説明する。

「美咲は先に逝ったのね」

「そうだ」

二度と戻ってはこない。

以前のようなチート技を使う術はない。

そして、輪廻を壊した俺は二度と世界に戻れないのだろう。

「覚悟していたとはいえ、辛いわね」

「ああ」

俺自身も相当きている。

表面上は静かではあるが、内心はすぐに崩れてしまいそうだ。

「これから先、犠牲が出ないとは限らないわね」

「最悪の事態もあるかも、な」

見通しが甘いせいで引き起こした事が多すぎる。

俺の責任だ。

責任はとらなければならない。

その責任は留まる事ではない。

この戦いをやめる事でもない。

俺は顔を上げる。

「多分、次に奴がいる」

「そうね」

俺は足を進めようとする。

「ねえさーん!」

ジャスミンが飛んで子鉄に抱きついた。

「ちょっと、何よ?」

「姉さんの匂いがする!」

迷惑そうな顔を隠さないが、ジャスミンは気にしていない。

「ちょっとそのままにしておいてくれ。ジャスミンもしばらく我慢してたみたいなんだ」

「何とも、迷惑な話ね」

頭を抱えたまま、直立不動の姿勢は変えない。