男装人生




足の踏み場のない部屋で逃げ回る。


ちょこまかちょこまかと逃げる玲李に、寝起きの希夜は苛立ち始めている。



「止まれ。」


止まれと言われて止まるか、バカぁ~‼



「・・・わかった。何もしないからメガネは返して。」



メガネそんなに大事なのだろうか・・・
希夜の交渉にやっと玲李も思案顔で足を止めた。



「ホントに?」


「ほんと。」


「これ伊達(ダテ)だろ?」


「・・・それが何?・・・フフフ・・・関係ないでしょ。」



しれっとしちゃって。
なんちゃってメガネで何がいけないと言われてる気分だ。
何にも言い返せない。


「・・・無い方がいいのに。」


「うるさい。返せ。」


ボソッと呟いただけなのにすかさず声が飛ぶ。


うーん。どうしたものかな~。

本当に何もしないだろうか。


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