恭へのお土産を恭に投げつけ、その場を逃げ去る。
あの場に居たら架衣斗の前で意地悪されそうだからな。
少しだけ図星なのも、いたたまれない。
怜悧はまだお土産を渡していない、光を探すことにした。
教室にはすでに居らず、行く当てもないまま歩く。
光は試験の朝以来一度も見ていない。
少しだけでも会いに来てくれたっていいのにと怜悧は口を尖らせる。
圭也から忙しそうだと聞いてるから理由は分かるが、気持ちが納得してない。
最初から私から会いに行けば良かったのだろうか。
2階の長い廊下を歩きながら、ふと窓の外を見れば遠くに見慣れた猫背の背中を見つけた。
自販機に向かい、飲み物を選んでいる。
怜悧は急いで一階に降り、その背中に向かって走った。
「・・・っ・う‼・・こうっ‼」
光はまだ自販機で飲み物を選んでいる。
ゼイゼイと息をしながら、光の後ろから出ているシャツを掴んだ。
「ん?何してんだよ。」
「はぁはぁ・・な、何してんだよじゃないよ。探したし。」
「?」
なんのようだと言いたげに眉をひそめている。
なんだ。
なんだ。
なんだ。
会いたかったのは私だけか。
なんとも言えないやるせない気持ちになってくるりと背を向ける。
そして、光とは逆方向に向かって歩き出した。
「やっぱいいや。帰ろ・・・」
「はっ?来たばっかじゃん。何?」
後ろから腕を取られ、足を止める。
私はそうしてくれるのを期待してたみたいだ。
胸が少しだけ高鳴るのを感じた。
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