男装人生



「ほら、さっさと決めてちょうだい。」



とりあえず、キン・ニックくんを買い物かごに入れる。


「それ、買うのかよ・・・」


「変な石買おうとしてる圭也に言われたくない。」


「え?しかも二つっ⁉」


圭也、うるさいなー

私も最初ないわ~って思ったけど、じわじわきちゃったんだもん‼
これは、自分ぶんと光へのお土産なんだ。



「気に入ったのね。一つは自分へでしょ?」


「うん。」


樹里ちゃん鋭い。



「もう一つは誰に上げるのかしら。」


「お揃いかよっ‼」


圭也と樹里ちゃん、変なとこ気が付く。
面倒くさい展開になりそうだ。


「さーて、早く皆のお土産選ばないとな。」



スイーっと二人の間を抜け、お土産選びに熱中するふりをする。
ごちゃごちゃ隣で圭也がぼやいていたが無視だ。

圭也もいなくなったし・・・
そろそろ、大丈夫かな?


「ひっ‼」

後ろの商品も見ようと振り返ると、ものすごい近い距離に樹里ちゃんが立っていた。
爪先立ちで背伸びし怜悧の耳元に口を寄せる。
右の視界が金色のキラキラでいっぱいになった。


「心配する必要なかったわね。気になってる人いるんじゃない。」


「え?・・・はっ⁉はっ⁉はぁっ⁉」


心配って⁉
気になっている人ってなんのこと⁉って言いたいのに言葉が出てこない。


どうしてだか、顔も熱くなるし。


だが、樹里ちゃんはそれだけ言い残し、圭也のお土産選びを手伝いに行ってしまった。

気になっている人って、このキン・ニックくんをあげる光のこと⁉

いやいや、勉強を教えてくれたお礼にだし、友達だからだし。

他のみんなにもあげるしお揃いだからって、深い意味ないし。


悶々とした気持ちだけ残して・・・

言い逃げだ。

樹里ちゃんめ・・・


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