「どれ買おう・・・」
「これは希夜だな。」
圭也がよく分からない野球ボールくらいの歪(イビツ)な石の置物を手にしてそう言った。
よく見れば、石に顔がついてる。
しかも、ちょっとリアル顔で・・・
「・・・キモ・・・」
「はぁ⁉絶対喜ぶだろ‼」
圭也のやつ、希夜に絞められるだろうな。
「怜悧はお土産なににするんだよ。」
「ん~どうしよ。樹里ちゃんこの町ってゆるキャラとかいる?」
「まぁ、いるわよ。・・・人気ないけど。」
樹里ちゃんが指さす所をみると、隅っこに追いやられているキャラクターグッズが目に入る。
上半身裸のムキムキ男性の身体に亀の顔と甲羅を背負わせている全くゆるくないキャラクター。
「ガチムチじゃねーか・・・」
「ゆるさの欠片も無いわよね・・・」
「確かに・・・」
筋肉、リアルすぎるだろ・・・
顔だけ見たら点みたいなつぶらな瞳とか、適当な輪郭とか、ゆるく見えるのに。
近くに行き、ストラップになっているゆるキャラを手に取ってみる。
「名前は?」
「キン・ニックくん。」
「亀、無視ですかっ?」
「地味にこの町、筋肉推(オ)しなのよね。筋肉コンテストとかあったり・・・」
「亀は⁉亀は何なんだ?」
「知らないわよ。」
「怜悧~この町、亀が有名なわけでもないみたいだし、亀にそんなこだわりないんじゃね?」
まさかの、ゆるキャラの顔と象徴背負ってるのにその扱いですか・・・
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