旅館の玄関に踏み入れると"いらっしゃいませ"と複数の声に歓迎される。
一列に正座した仲居さん達が深々と頭を下げている。
その中、一際綺麗(ヒトキワキレイ)な人が玲李たちに笑いかけた。
他の仲居さんたちより少し華やかな着物を身に着けている。
「ようこそいらっしゃいましたね。凛太郎の母であり、女将(オカミ)の國亘 静江(クニワタリ シズエ)と申します。凛太郎がお世話になっております。」
「スゲーキレー。え、あ、こちらこそです‼」
「うわぁ~今日はよろしくお願いしま~す。」
「す、スゲっ‼ど、ども‼」
「ふふふ。」
静江さんは口元を隠し、上品に笑う。
ハル、ミッキーも圭也も口をポカンと開けて、見惚れている。
だらしない顔だ。
その横で玲李も挨拶をした。
「おかえり。凛太郎。」
「凛太郎坊ちゃん、おかえりなさい‼」
「おかえりなさい。」
「・・・ただいま。」
凛、凛太郎坊ちゃんって呼ばれてるのホントだったんだ。
慣れているのか、凛は気にした様子もない。
「あら、莉歩ちゃんも一緒だったのね。」
「はい。ばったり会ったんです。」
莉歩ちゃんは嬉しそうに答える。
「そう。良かったわ。・・・莉歩ちゃんのことは覚えていたのね。」
「残念ながら、覚えてませんでした・・・」
「・・・ごめんなさいね。あの子、ボーっとしているから・・・」
気の毒そうに笑った。
さすがお母さんは凛のことをよく分かっていらっしゃる。
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