ラースは私のことなんて見てくれないかもしれない。
私のことなんて何とも思っていないかもしれない。
でも、彼は優しかった。
「ラースは、私が病弱だって知っても優しかった。すごく面倒くさかったはずなのに、いつも私と遊んでくれた」
それは簡単なように思えて、誰にでもできることじゃない。
無意識にできてしまう彼は、私よりもお母さんよりも優れた人なんだろう。
そんなおひさまみたいな彼を独り占めしたいだなんて、私は大層な欲張り者かもしれない。
「私…っ、謝りに行ってくる!」
そうして、できることなら許してもらいたい。
もう一度笑ってほしい。
そのためなら私は、何だってできる。
「待ちなさい、イルサ!!」
雨の中を走ることだって、苦痛じゃない。