こんな時でさえ私は、泣くことができなかった。
こんなに哀しいのに、苦しいのに、体中の組織が動きを止めてしまいそうなほどつらいのに。
涙の一粒すら出てこなかった。
「お母さん…」
代わりにあったのは、胸の内に灯る怒りだけ。
大きく燃え盛る怒りの感情だけ。
「どうして、あんなことを言ったの」
「先に約束を破ったのはあなたでしょう?」
確かにそうかもしれない。
でも、ラースはきっと傷付いた。
私もお母さんも、ラースをすごく傷付けた。
彼は誰にも害されないおひさまであるはずなのに。
「私はっ、ラースと遊んでて楽しかった!!」
楽しかった、本当に楽しかった。
自分の体の弱ささえ、忘れてしまうほど。


