「あなたがけがをしていたあの日。何だか様子がおかしいから、次の日仕事に行くふりをして家に隠れていたのよ。
予想通りだったわ」
お母さんの厳しい視線が私を射抜く。
寒さのせいじゃなく、体ががたがたと震えていた。
「イルサ、知らない人を家に入れてはだめと言ったはずよ。約束を破ったわね」
「ご、ごめんなさい…」
謝りながらラースに視線を送ると、彼は険しい顔でお母さんを睨んでいた。
ラース…?
「俺がイルサにあげた花を捨てたのも、あなたですか」
質問の内容を理解した途端、体中に鳥肌がたつ。
信じたくなくてお母さんを見ると、お母さんは唇の端を引き上げて微笑んだ。
まるで、おとぎ話に出てくる魔女みたいな笑みだった。
「そうよ。あんな汚らしいものをイルサの側に置いておくなんて、どうかしてるわ」


