目を覚ますと、彼の姿はもうなかった。

当たり前か。



あれからどのぐらい寝ていたんだろう。

外が明るいのはさほど時間が経っていないからだろうか。


「イルサ、起きたの?」

お母さんがドアを開けて入ってくる。

「よかった…。もう3日も眠ったままで、心配したのよ?」


そんなに眠っていたんだ。

言われても実感がわかない。


それよりも私には気になることがある。

「お母さん」

「何?」

ラースが訪ねてきたのか訊こうとして、あわてて口を閉じる。

言ってはいけなかったんだ。