「え、」
私の胸の中で不安が波になって押し寄せる。
その波に逆らうことはとても難しくて、流されてしまいそうになる。
「だって、イルサの体調が悪くなったのもそのせいかもしれないだろ?」
「そんなこと、ないよ」
そんなことない。
私は、ラースといて楽しかった。
間違っても、今体調が悪いのがラースのせいであるわけがない。
「俺は、イルサを苦しませたくないんだ。だから自分がイルサを外に連れ出してたんだと思うと、すごくつらいよ」
「ごめ、なさ…」
ごめん、ごめんね、ごめんなさい。
どれだけ言葉を尽くしても、この気持ちからは解放されないような気がした。
私が事実を隠していたことが、彼を傷付けていたなんて。
私にとっては、それも苦しかった。