「イールーサ」


間延びした声でラースが窓を叩く。

気持ちが重い。


窓を少しだけ開けてラースに言う。

一言口にするたび、心が傷付いた。


「あのね、ラース。私、もう遊べないの」

「え?」

何が何だかわからないといった顔で、ラースが窓を叩く手を止める。


「昨日お母さんに、外で遊んでたことがばれて…」

「あー、なるほど。外で遊んでけがしたから怒られたんだな。
じゃあ…」

言いながら、ラースが手を伸ばして窓を全開にする。


何をするのかと思えば、木の枠を伝ってそのまま窓枠に登ってきた。