「ありがとう」
男の子は笑顔で言いました。
その笑顔は女の子が今まで見たことがないほど輝いていました。
「だぁれ?」
「教えてほしい?」
男の子に訊き返されて、予想外のことに言葉がうまく出てきません。
そんな女の子を見て、男の子は歯を見せて笑いました。
その笑顔はやっぱりまぶしくて、女の子は何だか彼をまっすぐ見ることができません。
男の子は名前をラースといいました。
「そっちは?」
そう訊かれて、女の子はまたもや戸惑います。
見ず知らずの人に簡単に名前を教えてしまうのは、はたして許されることなのでしょうか。