すると、不意にラースが大木の方まで歩み寄っていって、木の幹をそっとなでた。
「初めて会った時さ、ここでひなたぼっこしたよなぁ」
体中の機能が、一瞬だけ動くことをやめた。
すべての音が私の耳から遠のいていく。
なんて、長い一瞬。
「あれ、覚えてない?こんなこと覚えてるの俺だけか」
ちょっと苦笑いを浮かべるラースに、私は叫ぶ。
「そんなわけない!」
本日2度目の大声に、ラースがひるんだのがわかった。
「そんなわけないよ…」
今も覚えてる。
忘れるわけがない。
「だってラースは、私の初めての友達なの」
初めての友達との思い出を、忘れるわけがない。


