だけどそんな女の子の日常は、ある日突然変わったのです。


「…?」

窓ガラスをこつこつ叩く小さな指。

まさか、まさかそんなはずはないのです。


ここは町の中心地から遠く離れた僻地で、お父さんもお母さんも朝から仕事に出ています。

窓の外に小さな男の子がいることなんて、あるはずがないのです。


男の子は高い木の枝に乗っかって、女の子に微笑みかけます。



――知らない人を家に入れちゃだめよ。

お母さんにいつも言われていたことでした。


けれど女の子はどうしても我慢できずに窓を開けてしまいました。