「やっと来たか」

そう言われて胸がざわつく。
来るのが遅かったかな、とか待たせてしまったかな、とか余計なことを考えてしまう。

「あ、ご、ごめん」

ところが私が謝ると、ラースは急に不機嫌そうに眉を寄せた。


「なんで謝るんだよ」

「え、だって…」


待ちくたびれたでしょう?

だから不満なんでしょう?


けれどそれをなんて言えばいいのかわからなくて口をパクパクさせていると、ラースは私の頭を乱暴に掻き乱した。


「わあっ」

いきなりのことで、足がよろめく。

そのまま、ラースの胸の中に倒れこむように収まった。