窓を開けると、ラースは木の枝を伝って窓枠に足をかける。

よく落ちないな、といつもハラハラする。


「イルサ、遊ぼーぜ」

「いいよ」


部屋の片づけが途中だったけれど、そんなことはもうどうでもいい。


だって、おひさまの誘いを断ってはいけないでしょう?


仕事に出かけた両親は遅くまで帰ってこない。

5年もの間ずっと、私はこの秘密を守り通した。


私とラースが遊んでいることは、きっと私たち以外の誰も知らない。


「下で、待ってて」

そう言ってあわてて階段を駆け下り、外へ出る。

木漏れ日の中で笑うラースは、冷たく凍った空気の中でも輝いていた。