「…ちょ…ちょっと待ってよ!神藤グループってあのリゾートホテルとか経営しているあの大会社でしょ!?…そんな坊っちゃんがこんな高校に通ってるわけないよっ!!!」
…うん、絶対に絶対にありえない。そんなのあたし信じない。
「まぁ、姫が信じるとは思ってなかったけど」
と菜月が言ったと同時にクスクス笑い始めた3人。
「でもね、そんな坊っちゃんがここに通ってるのよ」
「それから、この学校に神藤って苗字の人は……神藤宏樹、ただ一人しかいないの」
「なに…それ」
学校に一人しかいないってそんな……
キーンコーンカーンコン
チャイムが鳴り、みんなが各自席に着こうとしている中、姫季は立ちすくむ。
そんな様子の姫季を見て、菜月は姫季にふんわり優しい笑顔で、笑いかけながら姫季に席に座るように促して、姫季に話し掛ける。
「神藤くんと姫が今日、なにを話したかは知らないけど、でも重要なことだったんでしょう?ただ――姫がこの他に神藤くんに聞きたいことがあるなら、直接聞きに行かなきゃね」
え…、でも――。
そんなこと言われたって、あたしはなに一つ神藤くんのことを知らなかったのに――。

