「……神藤くんか~」


「"あの"神藤くんなんだよねぇ~」


「……だからあんなに廊下が大騒ぎだったんだぁ」


 あたしの目の前で色々と好き勝手な感想を言っている3人。


「ねぇ…姫季は神藤くんと面識あったの?」


 ……悠華にそう聞かれ、素直に答えた。


「……なかったよ~。まず存在自体知らなかった」


「「「え」」」


「……初対面って」


「――あんな有名人を知らないの?」


「……うん、知らない。ってかそれ、神藤くんにも言われたの。"知らない"って言われたの初めてだ、って」


「…そりゃそう言うとわたしは思うけどな~。
だって実際のところ、神藤くんを知らない人なんて滅多にいないんだから」

 ……滅多にって……、じゃああたしは全く知らなかったから、その滅多にの一人に入るわけ? なんかそれはそれで微妙だなぁ……。